いまどきエンジニアの育て方(9):人材育成、人事部はもう当てにできない!?
ひと昔前までは、人事部にも技術畑出身の人間がいたもので した。そのため、開発部門にどんな人材を採用すればいいのか、技術研修で新入社員にどんなことを教えればいいのか、人事部はきちんと把握していたのです。 OJTを開発現場に任せきりにしてしまう――。エンジニア出身者が人事部にいない企業ほど、そのような傾向があるのかもしれません。
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入社2年目の佐々木さんに対して、ジェネレーションギャップやコミュニケーションの壁を感じながらも、何とか佐々木さんを“できるエンジニア”に 育てたい田中課長。次期新製品の開発においてハードウェア設計の要となることで、一皮むけてもらいたいと願っています。一方、なかなか“バッターボック ス”に向かおうとしなかった佐々木さんも、少しずつ田中課長の熱意を感じ始めていました。そのような中、田中課長は、OJT(On the Job Training)を開発現場に任せきりにしている人事部のやり方に対して、疑問と不満を持ち始めます。開発の人材が育たなくて困るのは、現場で働く自分 たちだということを誰よりも分かっているからです。
22年前、田中課長が新人だったころ
田中課長は、自分自身が新入社員だった22年前のことを思い出していました。
3カ月間の新入社員研修を経て開発部に配属されたときは、ワクワクしたなあ。それに、先輩や人事部の課長から「仕事はどうだい?」と声をかけられると、“気にかけてもらってるんだ”とうれしくなったものだ。