無関心な現場で始める業務改善【シーズン2】
第3回 得られぬ協力関係
2012年10月23日
一時期は,経営者や会社を恨んだ佐藤さんですが,我々現場にも責任の一端はあったのではないかと考え始めています。管理職でもない主任の佐藤さんの
立場でできることも,たかが知れています。しかし,「会社を良くしていこう」という志を持った社員はいるはずと信じ,まずはできることから始めようと,い
よいよ活動を始めます。へらへら笑っている場合か!
佐藤さんは,早期退職で社員が激減した社内を見渡して,「こんなに広かったっけ?」と天井を見上げながらため息ばかり漏らします。残った我々が経営 者と一丸となって会社を立て直していかなければならないはずなのに,社内にはさほど緊迫した空気が流れているようには感じられません。自分たちの開発部は全体的には暗い雰囲気ではあるものの,全社を見渡すと何事もなかったかのように時間だけが流れていくことに,佐藤さんは違和感を 覚えます。開発部の杉本課長は,海外出張の件で「お土産は何がいい?」とのんきに庶務の女の子と話をしています。もっとも人員が削減された製造部に出向く と,喫煙室から出てきた社員からは,「俺達,会社に残れてよかったよなぁ。組立配線にいたAさん,年も年だし,再就職でかなり苦労しているらしいぞ!」 「そりゃそうさ……,定年までそつなくやることが一番だよな」……という会話が聞こえてきます。
たまたま,先ほどの製造部の年輩社員が口にしたAさんの名前が佐藤さんの耳に入り,新人だったころを思い出していました。製造部のAさんは,「回路 図は2次元だけど,製造部の俺たちは,この配線を引き回すのだから,頭の中では3次元で考えないとダメだぞ」と言うことが口癖で,怒られもしましたが親父 のように佐藤さんをかわいがってくれた人でした。そのAさんが早期退職で会社を去り,今は再就職で苦労をしている。それなのに,残ったこのオジサン連中 は,自分の身のことばかり気にしている。
「定年までそつなく……?なぜ優秀な組立工だったAさんが辞めなければいけなかったんだ。お前らが辞めればよかったんだ。ふざけるな!」。佐藤さんは口には出さないものの,聞こえきてしまった会話に悔しさを堪えています。
製造部に限らず,他の部門も似たような状況でした。これから会社を立て直すというムードからは程遠いものでした。
事なかれ主義者たち
庶務の女の子との土産話が終わったのでしょうか…。杉本課長から,佐藤さんは呼ばれます。杉本課長は,先週の品質対策会議(第1回参照)の場において,「立場をわきまえてくれないと僕が困るよ」と発言をした上司です。“長いものに巻かれる”“自分が損をすることはやらない”という「事なかれ主義者」です。- 杉本開発課長:「佐藤さんさぁ,こないだの品質対策会議のことで話があるんだけど,ちょっといいかな?」
- 佐藤さん:(なんだよ今さら……と思いながら)「何でしょうか?」
- 杉本開発課長:「君が怒って会議の途中で出てしまうものだから,後が大変だったんだぞ。部長たちに頭を下げる俺の身にもなってくれよ」
- 佐藤さん:(怒……<(`^´)>)「それも課長の仕事じゃないですか?(いつもペコペコしているくせに……)」
- 杉本開発課長:「何を言っているんだ,君は!」
- 佐藤さん:「課長はあの会議に出ていて何も思わないんですか?対策会議って名ばかりで,のんきなもんですね」
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